心に届く歌







「どうして、僕を、様付けするのですか…?
僕は、様付けされるような身分ではないのですが……」




僕はエル様やティラン様と違い、ほぼ奴隷の身分だ。

こんな僕が優しくされるなんて……。




「わたくしは基本的に、相手がどのような身分でも、様付けするのが癖なのです。
ですからシエル様が嫌だと言っても、わたくしはシエル様と様付け致しますよ」


「……こんな、僕でもですか?」


「こんな、などとおっしゃらないでください。
シエル様は、お嬢様の心に火をつけた存在なのですから」


「僕が、火を?」


「ええ。
起き上がることは出来そうですか?」


「……出来ますけど…」


「では身を乗り出してみてください。
お嬢様の心に火をつけたというわたくしの言葉が間違っていないことがわかりますよ」




僕は上体を起こし、そっと身を乗り出しベッドの脇を見た。





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