心に届く歌
「お嬢様はまだご存じないのですが、
先ほどお嬢様のご両親である、旦那様と奥様が決めました。
シエル様。
あなたを正式にこの屋敷で保護すると」
「え?」
ソレイユ王国次期国王のエル様。
その両親とはつまり…国王様と王妃様。
どうして僕なんかを…?
「シエル様。
誠に申し訳ありませんが、あなたのことを調べさせていただきました」
「え?」
「身勝手なことだと思いますが、なにぶんお嬢様のお頼みであり、旦那様と奥様も気になっておりましたので、調べさせていただきました。
シエル・セレーネ様。
単刀直入に申し上げますが、あなたは今のご両親に酷い暴力に合っているのではありませんか?
簡単に言えば、虐待です」
「…………」
ごくり、と唾を飲み込む。
僕の中で触れてほしくない出来事だったから。