心に届く歌







「あなたは本当の両親を失い、施設で育てられたのち、現在のセレーネ夫妻の養子となりノール村に住むようになった。

その後働き始めたと集めた情報に書いてありましたが、
働き始めた理由も、ご両親が大好きな賭け事をするためのお金を稼ぐためではありませんか?」


「…………」


「あなたは学校に行っていないようですが、
学力もなく技術もない中、自分のためではなくご両親のために働いた。

あなたが働いていたという工場も、待遇は決して良くなかった。

むしろあの工場は学歴で全てが決まる場所であり、
学校に行っていないあなたにとっては酷く過酷な場所だったのでは?」


「…………」


「それでも工場長が逮捕されるまで働き続けた原因は、
両親があなたの稼いだお金を目当てにしていたからではありませんか?

あなたが上手く稼げなかった時には、暴力という手段であなたをご両親は支配した」


「…………」


「あなたの体に走る無数の傷痕。
痣に血の滲む傷。

それらは全て、ご両親からつけられた、虐待の紛れもない証拠なのではありませんか?」





僕は一切何も言わなかった。

ただ口を閉ざし、強く強く唇を噛んだ。






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