心に届く歌
「実はシエル・セレーネ様を執事にしようと言ったのは、旦那様と奥様なのでございます」
「え?お父様とお母様が!?」
傍にいることを許さなかったお父様とお母様が?
どうして執事だなんてわたしの傍にいる役目をシエルに?
「お嬢様が眠っている間、わたくしはセレーネ家の出来事を旦那様と奥様にご報告致しました。
シエル様も何も言っておりませんでしたし、証拠はありませんが、
鍵をかけた部屋にシエル様を閉じ込めていた事実をお話しした所、
旦那様と奥様がシエル様をセレーネ家に近付かせないよう言っておりました」
「待ってドク。
シエルが両親から虐待に合っていたかもしれないって、本人に聞いたの?」
「ええ。
ですがシエル様は何も言っておりませんでした」
「ドク、聞く時は気を付けてちょうだい。
シエルは前もって言わないと、触れた時酷く驚くし震えるの。
きっとそれは虐待に合っていただとしたら、筋が通る。
シエルの辛い出来事を思い出させるような真似はさせないで」
「わたくしもその1度きりでございますが…以後気を付けます」
「まぁあなたはわかっているからね。続きを話して」
ドクは頷き、続きを話し始めた。