心に届く歌







「そして先ほどわかったのですが」


「何かしら」


「シエル様、重度の貧血を患っている模様です」


「え?」


「シエル様、時々目を強く瞑っておりましたよね?」


「ええ……」




あまりにも強く瞑っているから、理由を聞いたんだけど、シエルは何も言わなかったのよね……。




「あれは貧血による眩暈が原因で瞑っていたそうですよ。
しかもかなりの時間瞑っていたので、眩暈の度合いも酷いかと」


「…………」


「先ほどお嬢様が寝ている間、シエル様が息苦しさを訴えまして。
診た所、貧血の症状がみられました。

息苦しさも貧血の症状のひとつでございます」


「……治るの?」


「食生活を直し睡眠をとれば治りますが…。
正直かなりの時間を要するかもしれませんね」


「……そう」


「シエル様がご飯を食べて戻してしまった原因も、貧血かと。
貧血は吐き気を伴う場合もありますから。

シエル様の場合、それに加え虐待も吐き気の原因かと思いますが…」


「……治せるのなら、治して。
お金が欲しかったらいくらでもあげるわ」


「もちろんわたくしが責任を持ってシエル様の貧血を治しましょう。

お金はいりません。
今日からはシエル様はわたくしの上司ですから」


「…ありがとうドク。シエルを頼むわ」





使用人の中で1番偉いのが、国王の専属執事やメイド。

2番目が相手の専属執事やメイド。

3番目に偉いのが、ふたりの子どもの専属執事かメイドだから、

わたしの執事となるシエルはかなり使用人の中では力のある身分になるのだ。



詳しくはお父様が決めているからわからないけど、

ドクがシエルを上司だというのなら

同じ専属でもシエルの方が身分は上になる。



1年後わたしは国王になるから。

シエルは使用人の中で最も有力な使用人となるのだ。







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