心に届く歌
「お嬢様。
シエル様の食事や
シエル様の貧血のお薬を用意して来ますので
わたくしはこれで」
「ありがとうドク、よろしくね」
ドクが出て行き、わたしは膝の上で眠るシエルを見る。
シエル……眩暈酷かったのに、耐えていたんだ。
ドク、シエルの貧血は重度だって言っていたけど。
一体いつから貧血の症状が出てきたんだろう。
「………んっ」
「シエル?」
ゆっくり瞼が開く。
そして瞬きをしてわたしを見つめた。
瞬きと同時に長い前髪も上下に揺れる。
「……エル…様……」
「シエルおはよう。具合はどう?」
「平気です……って!」
シエルは勢い良く起き上がり立ち上がった。
危うく顔面同士が正面衝突するところだったと驚いていると。
「っ」
「シエルっ!」
勢い良く立ち上がったシエルは、顔をしかめてソファーの近くに座り込んだ。