心に届く歌







「お嬢様。

シエル様の食事や
シエル様の貧血のお薬を用意して来ますので
わたくしはこれで」


「ありがとうドク、よろしくね」




ドクが出て行き、わたしは膝の上で眠るシエルを見る。

シエル……眩暈酷かったのに、耐えていたんだ。

ドク、シエルの貧血は重度だって言っていたけど。

一体いつから貧血の症状が出てきたんだろう。




「………んっ」


「シエル?」




ゆっくり瞼が開く。

そして瞬きをしてわたしを見つめた。

瞬きと同時に長い前髪も上下に揺れる。




「……エル…様……」


「シエルおはよう。具合はどう?」


「平気です……って!」




シエルは勢い良く起き上がり立ち上がった。

危うく顔面同士が正面衝突するところだったと驚いていると。




「っ」


「シエルっ!」




勢い良く立ち上がったシエルは、顔をしかめてソファーの近くに座り込んだ。






< 130 / 539 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop