心に届く歌
☆エルside☆
そっと伝わるぬくもり。
わたしはぎゅっと手を握る。
相手からも握られ、何だかほっとする。
ぬくもりがこんなに良いものだと知らなかった。
「この先で男女分かれているわ」
「わかりました……ありがとうございます」
シエルは頭を下げ、お風呂場へ向かおうとして、わたしは引き留めた。
「ちょっと待ってて。
バスタオルとか寝間着貸さないといけないわよね。
持ってくるから待ってて」
「わかりました」
わたしは走りながらスマートフォンを利用してドクに電話をする。
話したらすぐに予備を持ってきてくれると言ってくれた。
バスタオルはないと言うので、わたしのを貸すことにした。
「ドク……何で服の予備なんて持っているのかしら」
わたしはバスタオル片手にお風呂場へ向かうと。
壁に寄りかからずに立っているシエルがいる。
近寄ると、シエルが歌を口ずさんでいるのが聞こえてきた。