心に届く歌
「ねぇドク」
「はい?」
「何であなた、シエルに貸せるような寝間着を持っていたの?」
ドクが袋から出しシエルに見せていた寝間着は、
サイズが小さめでドクが着るようなものではない。
ドクは独身で子どもがいないし、男物だからわたしが着るわけじゃない。
「……ずっと前に、とある方から預かっていたのですよ」
「預かっていた……?今その人は?」
「不幸な事故で亡くなったと聞いております。
ですが、その方に預かってほしいと言われたのは事実。
ですからわたくしは今も、約束を守り持っていたのですよ。
まさかシエル様に貸すことになるとは思いませんでしたけどね」
どこか遠くを見ながら話すドク。
とある人から預かった、男物の寝間着。
どうしてその人は、ドクに預かるよう言ったんだろう……?