心に届く歌







「……貧血が出ていますね。
お部屋に戻ったら点滴しましょう」


「……お部屋って、どこですか?」


「わたしと一緒に決まっているでしょう」


「えっ……」





……なんだろう。

心なしかシエルの顔が赤い気がする。

お風呂に入ってあたたまったからかな?






「行くわよシエル」


「えっエル様はよろしいのですか?僕なんかと一緒で」


「良いの!」




わたしはシエルを引っ張る。

今日の夜はご飯戻さなかったけど、やっぱりすぐに体格が戻るわけではない。

折れてしまいそうな指が、わたしの手をそっと握った。







「このまま安静にしていてくださいね」



シエルが来てからわたしの部屋に置かれるようになった点滴台。

近くには貧血を治すための点滴の袋が山積みになっている。

シエルに刺したドクは、部屋を出て行った。






< 149 / 539 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop