心に届く歌
「シエル、その寝間着合うね」
「そうですか?……くしゅんっ」
小さくくしゃみをするシエル。
よくよく見ると小さく震えていた。
「寒い?」
「……さっき、お風呂場が広すぎて、自分の荷物をどこに置いたか忘れてしまって」
「それで濡れたまま探していたの?」
「恥ずかしい話ですけど…そうです。
あんなに広いお風呂、初めて見ました。
銭湯って、あんな感じなのでしょうね」
「きっと広いのは、時間帯にもよるけど、家で働いてくれている使用人たちも同じお風呂を使うの。
わたしとかお父様お母様と会わないよう、時間は深夜だけどね」
「誰もいませんでした」
「じゃあ今は空いている時間だったのかもしれないね」
「っくしゅん!」
「ほら、ゆっくり寝てて。
これ以上悪化しないようにね」
「でもエル様は……添い寝しますか?」
「えぇっ!?」
「僕なんかの隣で良ければ……どうぞ」
顔を赤く染め聞いてくるシエル。
「お、お邪魔します……」
わたしはシエルの横に寝転んだ。