心に届く歌
☆☆☆
「……似合いますか」
「素直に言って良い?」
「どうぞ」
「……すっごい似合ってる!!」
わたしに褒められたシエルは、パッと顔を逸らす。
「シエル写真撮って良いー!?」
「だっ駄目です!!」
「どうしてー?」
「恥ずかしいからですっ……」
朝9時、わたしの部屋。
シエルは出来上がったばかりのソレイユ家専用の燕尾服を身に付けていた。
黒いジャケットに白いワイシャツ、蝶ネクタイがちょこんと目立つ可愛らしいソレイユ家指定の燕尾服。
細身のシエルにはとても似合っている。
「にしても……随分早く出来上がりましたね…」
「電話1本で材料は揃っているから、職人さんが作ってくれるの。
シエルは細身だから、結構早く出来上がるみたいよ。
もう少し太っていたりしたら、時間かかるのかもね」
太っているシエルは想像が出来ない。
わたしはクスクスと笑った。