心に届く歌
お父様とお母様がわたしとドクを呼び、シエルを連れてきたことを話した部屋に連れられる。
この間は隣にドクが座ったけど、今日はシエルが座った。
「…………」
「…………」
見つめ合うお父様とシエル。
沈黙が続く部屋。
わたしは呼吸困難になりそうだった。
「……まぁ、なかなかさまになっているな、その服は」
「あっ……ありがとうございます…」
「で?」
「え……?で、と言いますと……?」
「お前はエルの執事になるのか」
首を振ったり黙るかとわたしは思ったけど、
シエルは小さくだけど頷いた。
「ぼっ…じゃなかった…わたくしは……えっと…エル様の、執事に…なります」
「本気か。
エルは次期国王の身。
生半可な気持ちでは勤まらないぞ」
「っ……わかってます。
でも…わたくしはエル様に…助けられています。
出来る限り…エル様に恩返ししたい…!」
ガタガタとシエルは緊張感からか震えていた。
「お父様お母様。
わたしからもお願いします。
シエルをわたしの執事にしてください」
わたしは腰から折れるように頭を下げた。
隣のシエルも、同じように頭を下げていた。