心に届く歌






お父様とお母様がわたしとドクを呼び、シエルを連れてきたことを話した部屋に連れられる。

この間は隣にドクが座ったけど、今日はシエルが座った。





「…………」


「…………」




見つめ合うお父様とシエル。

沈黙が続く部屋。

わたしは呼吸困難になりそうだった。





「……まぁ、なかなかさまになっているな、その服は」


「あっ……ありがとうございます…」


「で?」


「え……?で、と言いますと……?」


「お前はエルの執事になるのか」




首を振ったり黙るかとわたしは思ったけど、

シエルは小さくだけど頷いた。




「ぼっ…じゃなかった…わたくしは……えっと…エル様の、執事に…なります」


「本気か。
エルは次期国王の身。

生半可な気持ちでは勤まらないぞ」


「っ……わかってます。

でも…わたくしはエル様に…助けられています。
出来る限り…エル様に恩返ししたい…!」




ガタガタとシエルは緊張感からか震えていた。




「お父様お母様。
わたしからもお願いします。

シエルをわたしの執事にしてください」




わたしは腰から折れるように頭を下げた。

隣のシエルも、同じように頭を下げていた。







< 159 / 539 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop