心に届く歌
「……ふむ」
結果を見ながらお父様が呟く。
お母様も横から見ていて、難しい顔をしている。
「……シエルくん」
「はいっ」
「今何歳と言ったかな」
「じゅ……19歳、ですけど」
そういえばシエルって、わたしより年下に見えていたけど、実際は同い年なんだよね。
同じ19歳でも、見てきた世界は違う。
わたしは勝手にそう考えていた。
「……間に合うな。
シエルくん、今から数ヶ月学校に行きなさい」
「えっ!?」
「転入手続きはわしが行(おこな)っておく。
執事見習いとしながらここに住み、
学校に行って勉学に励みなさい。
学校では年に2回、国全体の学力テストが行(おこな)われる。
そのテストは全部で1000点満点だ。
980点行けたら正式に執事になってもらう」
「そんな……むっ」
無理です、と言おうとしたらしいシエルの口が閉ざされる。
そしてシエルは堂々とした口調で言った。
「……頑張って、980点、いきます」
それはシエルの口から聞いた、初めての自分を否定しない言葉だった。
シエルも、自虐以外のこと言えるじゃない。