心に届く歌
「……エル、だっけ?」
お母様がいなくなった途端、溜息をつきネクタイを緩めながら口を開く彼。
わたしは変わらずの無表情のまま頷いた。
「ええ。
ソレイユ王国100代目正統王位継承者のエル・ソレイユよ」
正統に王位を継承する者。
どんな反発があっても変わらない事実。
その肩書きを背負うのが、わたし。
「ふーん…正統王位継承者、ねぇ。
噛みそうな肩書きだな」
「……そうね」
「俺はプーセ。
どうせ結婚するなら俺の名字はソレイユになるわけだし、
名字は言わなくて良いだろ」
「……好きにしなさい」
つまらない人生。
何の美味しくもない人生。