心に届く歌
「そういや…俺とお前が結婚する目的は、跡継ぎを産ますためだろ?」
「……ええ。
わたしの後101代目国王になる跡継ぎを産まなければ、結婚する意味がないわ」
わたしの結婚の意味は全てそれ。
許嫁を連れてくる意味も全てそれ。
全ては跡継ぎを作るため。
次期国王なんてそんなのただの肩書きに、身分証明に過ぎない。
子どもを産むことは国王一家に生まれた者の生まれついた宿命。
「……じゃあさっさとやるか?」
「え?」
「さっさと子ども作れば良いんだろ?
そうしたら俺も他の女と遊べるし。
ちゃっちゃとやるか?」
緩めてあったネクタイを床に捨て。
黒いジャケットを脱ぎ捨て。
ワイシャツのボタンを外していくプーセ。
「やめて。
わたしは今そういう気分じゃないわ」
「じゃ夜の方が良いか?」
「……っ」
避けられない?
避けるなんて選択肢はない?
「……昼間っからやめて。
夜にしてほしいわ」
わたしに断るなんて選択肢、ない。
わたしはソレイユ王国の次期国王だから。