心に届く歌
「シエル。起きたの?」
「……エル様…」
「具合はどう?」
「……だいぶ良くなりました…ありがとうございます」
良くなったと言いながら大きく息を吐くシエル。
ドクが熱を計ると37度2分。
まぁ…疲れているみたいだけどだいぶ下がったね。
「疲れた?」
「え?」
「学校、疲れた?」
「……はい。
授業について行けなくて……。
復習しなくちゃ……」
ゆっくり上体を起こし、立とうとするシエル。
わたしは手で制した。
「駄目よ。
今日はもうこのまま休んでいなさい」
「でも……今日から僕は寮で…」
「具合の悪いあなたをひとりにさせられないわ」
あの日、初めて添い寝をした時。
あの日からずっと、わたしたちは同じベッドの上で眠っていた。
学校に入学すると同時に、シエルには寮の部屋が与えられ、そっちで眠ることが決まっていたんだけど。
「今日はここで休んでいなさい。良いわねシエル」
「……はい」
シエルは頷くと、再び眠りに落ちた。