心に届く歌
「まだ添い寝をするおつもりですか?お嬢様」
「あら駄目かしら」
「19歳になる異性が同じベッドの上添い寝とは。
どこの恋愛ドラマでございますか?」
「……だって、放っておけないでしょ」
眠っているシエルが隣にいると不思議と安心する。
あたたかな温もりが伝わり、隣にいることがわかる。
確かに隣にいる現実が、わたしは大好きだ。
…………って、え。
「…………だい、すき?」
「お嬢様?」
「大好き……?わたし、大好きって言った?」
「ええ言いましたねお嬢様」
「シエルのこと……だい、すき?」
「へ?」
「へ?」
『シエルのこと』と前につけると、一気に緊張してくる。
緊張というか、顔が真っ赤になっていくのがわかる。
「大好き……シエルの、こと?」
あぁ、好きなんだ。
好きなんだ。
好きだから、傍にいてほしくて、傷ついた心を助けたいんだ。
これが、恋。
わたしが一生知らないまま生涯を終えると思っていた、恋?
「……好きなんだ、わたし。シエルのこと」
好き。
……大好き、シエル。