心に届く歌
「お嬢様?」
不思議そうな顔をしているドク。
わたしは初めてわかった気持ちを言った。
「ドク。わたし、シエルのことが好きみたい。
ううん、みたいじゃない。
わたしはシエルのことが好きなの」
「……お嬢様…」
「これが恋なのね?
やだ、すごくドキドキしちゃう!
えへへ、シエルのこと、好きなんだわたし!」
初めての気持ちに興奮するわたしを見て、ポカンとしているドク。
「これからわたしはエル・セレーネになるのかしら!?」
「いや…結婚すればお嬢様の姓になるので、お嬢様の姓が変わることになることはありませんけど……」
「じゃあシエルがソレイユ?…やだ素敵!!」
ひとり興奮するわたし。
ポカンとしているドク。
「結婚式にはドクを呼ぶわね?」
「あ……ありがとうございます。嬉しいです……」
「あんまり嬉しそうじゃないわね」
「いや……すごく嬉しいですよ……」
「ブーケはドクにあげるわ。
わたしの幸せ分けてあげるわね!」
「ブーケは基本、未婚の女性が受け取るものなので……」
「でも特別にあなたにあげるわ」
「……はぁ…」
ドクはあんまり嬉しそうに見えなかった。