心に届く歌
「どうしたの?」
「……実は今朝、シエルさんが台所にいらして」
「シエルが?」
「学校に用事があるから、朝ご飯はいらないと。
お昼用のお弁当は持って行かれたようですが。
少し……顔色が悪いように見えまして…」
「……そう。わかったわ」
わたしはメイドが出て行き、スマートフォンを手に取った。
電話帳の中から彼の名前を探し、電話をかける。
『おかけになった電話は、電波の届かない所にあるか、電源が入っていないため、かかりません……』
「シエル……何で出ないのよ」
わたしは女性の声を切り、別の名前を探し電話をかけた。