心に届く歌
-6- Erase
☆シエルside☆
きゅるるるる……
誰もいない教室に辿り着き、鞄を机の上に置いた途端。
お腹が空腹を知らせ、そっとお腹をさすった。
「はぁ……」
席に座り溜息をつくと、再びきゅるきゅると鳴る。
僕は空腹を忘れるため、教科書とノートを取り出し、勉強を始める。
昨日の夜2時間だけ復習したけど、
貧血が引き起こす眩暈が出てきたので、やむなく断念して眠りについた。
昨日途中まで書いた数式を最後まで書き、次の数式を書いていく。
きゅるるるる……
カリカリとペンを走らせる音が響くだけの教室に鳴り響く、お腹の音。
ペンを止め、お腹をさすって空腹を紛らわす。
前までは朝ご飯を食べていなかったから、お腹が鳴ることもなかったのに。
最近ではしっかり朝昼晩食べさせてもらっているので、胃が食べ物を求めている。
胃が欲求するまま食べているので、最近では体に肉もついてきた。
僕は余分だと思っていたけど、エル様やドクさん曰く「もっと肉をつけなさい」らしい。
「……エル様、か」
好き。
昨日言われた言葉が頭をよぎり、僕は首を振った。
迷惑でしかない。
害でしかない。
好きなんて言葉は、僕に必要ない。