心に届く歌
きゅるるるる……
「……はぁ…お腹空いたかも…」
ペンを置いて投げ出したくなるのを堪え、お腹を片手でさすりつつノートにペンを走らせる。
勉強しなくちゃ。
満点に近い点数取らなくちゃ。
そう自分に言い聞かせ、カリカリとひたすらペンを動かした。
「……あ、薬飲んでない」
ペンを置き、鞄の中から薬を取り出し、シェフさんから貰った水で飲む。
これで少しは空腹も紛れると良いんだけど。
きゅるるるる……
「……水と薬じゃ空腹は紛れないかなぁ……はぁ」
ペンを置き、一旦伸びをする。
こんなのじゃ全然頭に入らない。
伸びをした後机に突っ伏し、息を大きく吐く。
机に反射して自分の吐息が顔に当たり、前髪がふわりと揺れた。
「ッ!!」
急いで跳ね起きる。
そして誰もいないにも関わらず、両手で前髪を押さえ込んだ。
駄目。
前髪を上げちゃいけない。絶対に。
上げたら最後。
僕の、最期。