心に届く歌
「頼む、頼むから。
俺がかつてエルちゃんが好きだと思っていた気持ちを、害なんて言わないでくれ。
害虫と一緒にしないでくれ」
「…………」
「確かにお前の言う通り、好きだって気持ちが必要じゃねぇって言う人もいる。
だけど、必要だって言う人もいるんだ。
必要だって思っている人の気持ちを、絶対に否定するな」
アンスはそのまま、保健室を出て行った。
「お前はここにいろ」と最後に言って。
「……わからないよ…。
好きって……何なの。
迷惑じゃないの?」
僕は布団をぎゅっと握りしめた。
忘れるために寝ようと思い目を瞑るも、吐き気が出てきて。
アンスが近くに置いてくれた吐いた時用の容器を両手で持ち、僕はそのまま吐き出した。