心に届く歌
「まだ気持ち悪いか?」
「……何度吐いても吐き気治まらなくて…」
「体もさっきより熱いな」
僕の頬に触れたアンスは、保健室にあったタオルを水で濡らし額に乗せてくれた。
熱を冷ますシートを貼ろうとしていたけど、拒否した。
額に直接貼るものだから、前髪を上げる必要がある。
前髪を死ぬまで上げないと考える僕に、シートは必要ないものだった。
「保健室の先生来たか?」
「1度も見てない…」
「ったく……肩書きだけの教師なんていらねぇんだよ」
アンスは隣のベッドに座った。
「アンス……授業は?」
「サボった」
「え」
「ちげーよ、今昼休みだ。
昼飯食べられるかなって来たけど……無理そうだな」
苦笑いを浮かべるアンス。
確かにとても食べられる体調じゃない。
そして、ふと気になったので聞いてみた。
「アンス。
他の人とお昼食べたりしないの?」