心に届く歌
ピクリと、アンスが反応した。
「……え?村?殴られた?……どういう意味だよ」
アンスに言われて自分の失言に気がつく。
僕はパッと袖から手を離した。
「シエル答えろ!
村とか殴られたってどういうことだよ!!」
「そっ……それ以上っ…」
「シエル!
お前はソレイユ家に仕える家の子どもじゃねぇのかよ!!」
「やっ……!それ以上言わないでっ!」
「シエル答えろっ!!」
ぎゅっと腕を掴まれる。
僕は掴まれた腕を上下左右に激しく揺らした。
「やだ離して!」
「シエル!」
「やだやだやだっ……!
ごめんなさいごめんなさいごめんなさっ、ごめんなさい!!」
「シエルこっち見ろ!シエル!!」
重なる。
重ナル。
アンスとあの人たちの顔が重ナル。
「ごめんなさい!
僕が悪かったから!
僕が悪い子だから……ごめんなさいっ!!」
「シエルっ!!」
グイッと腕を引かれて。
何かあたたかいものに包まれた。