心に届く歌







シエルはいつだって辛そうにしていた。

何か重たいものでも背負っているかのように、苦しそうにしていて。

わたしはそれを取り除いてあげたかった。

シエルがずっとたったひとりで抱えてきた哀しみや苦しみを、

わたしが傍にいることで少しでも癒すことが出来たのなら。




自己満足。

自分勝手。

綺麗事。

同情。

そう思われても無理はないかもしれない。




だけど、わたしは彼を支える。

あなたがひとりで哀しまないように。

ひとりで抱え込まないように。

わたしがシエルの、傍にいるから。






「……スー…」





震えが治まっても抱きしめ続けていると。

わたしの腕の中から静かな寝息が聞こえてくる。

起こさないようそっと顔を覗くと、泣いたからか目を赤くして眠っていた。




「おやすみシエル」




頭をなでるとくすぐったそうに身じろぎする。

可愛いってきっと言ったら怒られるかな。

でも、可愛くて。




大好きで大事な人の寝顔を見ているうちに、

わたしは眠りに落ちた。







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