心に届く歌






昨日から始めたことだけど、僕はメイド長から紅茶の淹れ方を教わるようになった。

いつか本物のエル・ソレイユ様第1執事になった時のために、見習いの今から練習するようにした。

「どんな淹れ方をいつもしているのか見たい」というエル様の要望があり、こうして部屋の中で淹れ方を教えてもらっている。




「以上です。
さて、シエルさんもやってみてください」


「はい」




やり方はしっかり見ていたので覚えている。

僕は緊張しつつ、メイド長がやっていた通りに紅茶を作りカップに注いだ。




「シエルさん。
この間も言いましたが、茶葉をこす時間が短いです。

さぁもう1度」


「はい」




それから何杯も紅茶を淹れる。

やり方を覚えてもなかなか難しく上手くいかない。

10杯目にして、初めてギリギリながらもメイド長からオッケーをもらえた。




「ではまた明日やりましょう」


「はい。よろしくお願いします!」


「あなたの頑張りはわたくしも認めております。
いずれあなたなら上手く淹れられるようになるでしょう。

そういえば、シエルさん聞きました?」


「何を……もしかして、明日来るというメイドと執事のことですか?」


「ええ。聞いているのなら良いのです。
それではわたくしは失礼させていただきます」




メイド長が出て行き、目の前には大量に淹れた紅茶が並べられている。

捨てるのが勿体ないので、僕はこれから全て飲み干す。





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