心に届く歌
「シエル……」
いきなり頭痛い、なんて来るなんて。
嬉しい反面、シエルの体調が不安。
そっと黒髪を梳く。
出会った当初、シエルの髪は固くて触り心地は良くなかったけど。
今ではだいぶ柔らかな触り心地になっている。
艶も出てきて、もう少し無造作な髪形を直せばだいぶ綺麗になるはずだ。
「失礼致しまーす」
ノックもなしに入ってきたのは、先ほどの新人メイドと執事。
わたしはシエルの髪から手を放し立ち上がった。