心に届く歌
「あなたたち決まりを知らないの?
勝手にわたしの部屋に入ることは許されていないわよ」
「知ってますよ決まり。
でも、アタシたちシエルくんのことが心配でー」
「……シエルくん?」
くん付けになるほど親しくなった?
そう思ったけど、どうやら違うみたいだった。
「シエルくんから聞いてません?
アタシとシエルくん、
以前ティラン伯爵様の元で一緒に働いていたんですよ」
「…ティラン伯爵の所で?」
「ええ。
元仕事仲間です。
だから、知っているんです。シエルくんのこと」
「……何を、知っているの」
シエルは自分のことを語らないから。
わたしは思わず聞いてしまった。