心に届く歌
「シエルくんって、ちょっと怖い部分あるんですよね。
言葉を間違えたら、半殺しですよ。
相手がどんなだって容赦しない」
「それ以上言わないでっ!!」
わたしの前にシエルが立つ。
後ろ姿は震えていて、息も荒かった。
「だって本当のことでしょう?
シエルくんが相手と酷い喧嘩したから、警察沙汰になったんでしょう?
それで学校側がビビッて退学になったんでしょ?」
「それ以上言わないでくださいっ!!」
シエルの叫びはほぼ悲鳴だった。
「出て行って!もう僕に関わらないで!!」
「それは無理だよぉ。
シエルくんがアタシの前に現れなければ良い話でしょ」
「出て行って!出て行って!!」
ドンッとソンジュさんを軽く押すシエル。
軽かったためソンジュさんは不敵な笑みを深めただけだった。
「ばいばい。悪魔のシエルくん」
結局一言も話さなかった執事のベレイくんと一緒に、
ソンジュさんは部屋を出て行った。