心に届く歌
☆シエルside☆
「無理せず、何かあったら保健室に行ってくださいね」
次の日の朝、ドクさんは紙に僕の体温を書き込みつつ微笑んだ。
「はい。
ありがとうございます」
「今日はお嬢様もお出掛けの日ですから。
何かあったらわたくしにご連絡ください」
「はい」
昨日、頭が痛くなった僕は、それからずっとエル様の部屋にいた。
そのままエル様の隣で夜を越し、だいぶ良くなった僕は学校に行くことにした。
エル様は今日国王様との月に1回の勉強会の日。
実際に国王様について行って、国王がするべきことを学ぶ日だ。
大事な日なので、邪魔をしちゃいけない。
「それじゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい、お気をつけて」
ドクさんに見送られ、学校へ向かう。
10分ほど歩き学校に着くと、前を見慣れた人が歩いているのが見えて、声をかけた。
「アンス」
「よぉシエル。昨日大丈夫だったか?」
「うん。
ちょっと具合悪くなっちゃって。
今日も体育があったら休むよう言われちゃったんだ」
「んじゃ俺も休もうかな?」
「駄目だよアンスはちゃんと出なくちゃ」
「真面目だなぁ」
「僕の代わりに頑張ってよ」
アンスとは、色々話したことが影響しているのか、学生らしく色々話せるようになった。
同性の友達がいるというのは、良いのかもしれない。
僕はノートを貸してくれるようアンスに頼み、教室に向かった。