心に届く歌
「なんだよ、これ……」
紙を受け取り中身を見たアンスは、声を震わせた。
そして紙をぐしゃぐしゃに丸め、全員を見渡す。
「これ最初に書いたの誰だ!!」
「…知らねぇよ。
朝来たら黒板に貼ってあったんだ。
というかアンス、お前知っていたわけ?」
「……」
「シエル・セレーネが、ソレイユ村最北端であるノール村出身の貧乏人だって」
頭が真っ白になる。
何で、何で、何で?
何で、バレているの?
ソレイユ家に仕える家の息子だって言ってきたのに。
肩に背負った鞄の紐をぎゅっと握りしめる。