心に届く歌
「親から虐待に合っていたこととか、5歳ぐらいで働いていたとか。
クザンは知っていたのかよ」
「…………」
「つーかセレーネ、今おれが言ったことって本当なわけ?
村出身で虐待されてきたって本当か?」
全員の目が自分に突き刺さる。
「というか、何でお前みたいな貧乏人がこの名門校にいるわけ?」
「場違いだよな」
「早く出て行けよ、退学しろ」
「退学してよ」
冷たい声が教室に響く。
やだ。
退学したくない。
退学したら、テストを受けられない。
テストが受けられないと、執事になれない。
執事になれないと、エル様の執事になれない。
エル様に、恩返しが出来ない。