心に届く歌
校舎を飛び出し、外を探す。
自然と、逃げるとしたら外だと思った。
開放感があるし、俺もそうだったから。
予想は当たった。
日当たりの悪い場所に、シエルが長椅子に座り込んでいた。
静かに近づこうと思ったけど、葉っぱを踏んでしまい、シエルが顔を上げた。
ぼたぼたと大粒の涙をこぼしつつ、真っ赤な顔をしていた。
「シエル」
「……アンス…何で来たの」
「親友守るのが親友だろ」
出来る限り明るく話しかけ、隣に座ろうとすると。
「やだ…隣、来ないで……」
サッと逃げられてしまう。
俺が座ったことで立ち上がったシエルは、ふっと力が抜けるようにそのまましゃがみ込んだ。
「シエル?おいシエル。大丈夫か」
「……ふらふらする…」
ぎゅっと目を瞑るシエル。
俺はシエルの鞄の中から貧血の薬を取り出した。
昼飯を食べる時、いつも飲んでいるのを見ていたから。