心に届く歌
「ほらシエル」
「……ごめんなさい…」
薬と同じく鞄に入っていた水を渡すと、シエルはゆっくり薬を飲む。
「保健室行くか?」
「……ここにいたい。
人がいる場所に行きたくない……」
地面に座り込んだまま、体を丸めて俯くシエル。
俺は同じよう隣に座り込んだ。
「…怖いよっ……」
「え?」
「怖い…怖いの……人が怖い…」
「シエル……」
「生きているのが辛い…死にたい……」
ぎゅっと右手で左手首を掴むシエル。
よく見たら包帯が外れて地面に落ちていて、深い切り傷が露わになっていた。