心に届く歌
「さて。
俺は俺で一仕事しますか」
俺は伸びをし、教室に戻る。
授業中だったので何もクラスメイトは言わなかったけど、次の休み時間となると全員が俺に注目した。
「なぁアンス。あの貧乏人は?」
話しかけてきたのは、以前俺と仲が良かった奴。
卒業後の就職先は、クザン家のグループ会社。
俺の名字目当てで近寄ってきた奴だ。
「貧乏人?誰だそれ」
「セレーネだよ。シエル・セレーネ」
「あぁシエルか。
貧乏人なんて言うからわからなかったぜ」
「またまた冗談を。
アンス、何目当てであんな奴と仲良くしているんだ?」
「目当て?
そんなものねぇよ。
俺はただアイツと一緒に過ごすのが楽しいだけ。
親友と過ごす時間に目当てもメリットもないだろ」
「親友?
親友ならおれがいるだろ!」
自信満々に言うソイツ。
嘘つき。