心に届く歌
☆シエルside☆
「ちょっ、シエルくん!?」
何度も溜息をつきながらやっとのことで寮に辿り着き、扉を開けると。
欠伸をしていたおじさんが、僕の顔を見るなり勢い良く立ち上がった。
「おじさん……ただいま帰りました」
「おかえり。
それより早く部屋に行っていなさい。
大人しくベッドで横になっているんだよ、良いね」
よくわからないまま頷き、部屋へ向かう。
おじさんは内線電話を使い、早口でどこかに電話をかけていた。
鞄を床に落とし、制服を脱がないままベッドの上横になる。
途端に体の気が抜ける。
「はぁ……疲れたぁ」
盛大に息を吐くと、ノック音が聞こえる。
ゆっくり起き上がり扉を開けると、ドクさんが立っていた。
「確かにおじさんの言う通り顔色が悪いですね……」
「え……?」
「何か疲れたことがあったみたいですね。
でないとこんな早くに帰ってこないですから。
今日は横になってゆっくりしてください」
にっこり笑ったドクさんは、サッと慣れた手つきで僕を横に抱き上げた。