心に届く歌








連れて来られたのは、寮の地下。

立ち入り禁止と書かれた黄色いロープをすり抜け、僕はベレイくんに連れて行かれる。






「ここ…立ち入り禁止だって、おじさん言っていたでしょう…?」


「言っていたけど、よく考えてみれば絶好の場所じゃない?
まるで、伯爵様のあの地下みたいよね」


「……まさか、今から行(おこな)うつもりですか。あの儀式を」





ティラン伯爵様宅で行われていた、儀式。

血が舞う、本物の禍々しい、自分勝手以外何物でもない儀式。

僕とソンジュさんは、以前儀式の生贄(いけにえ)となった。






「ええ、再びあの惨劇を繰り返すわよ」


「何でそんなことをっ……」


「わからないの?復讐よ。
あの時アタシを助けなかったアンタへの復讐。

本当はやるつもりなんてなかったのよ。

だけど気が変わった。
この場所に、あんたがいたから」






黄色いテープをくぐった先にある長い鉄の階段。

降りた先には重たそうな鉄の扉があり、立派な南京錠が床に落ちていた。

南京錠を壊したのは、きっとソンジュさんとベレイくん。

あの儀式を繰り返すために、僕への復讐を達するために、壊された。




扉の向こうは、何も置かれていない鉄で出来た冷たい空間。

そこはまるで、ティラン伯爵様は知らない、あの屋敷の地下のようで。

隅には数十本の鉄パイプが置かれていた。





今から本当に、再現するんだ。

あの、血飛沫の舞う儀式を。

一種の処刑みたいな儀式を。




再現、スルンダ。






「さて、始めるわよ。
ベレイ、準備してちょうだい」


「御意」





鉄パイプを持ち、1本をソンジュさんに渡したベレイくんは、スマートフォンを出し、連絡を始めた。

一言二言話して通話を終えた数分後、ゾロゾロと地下室に黒い服を着た人が沢山入ってきた。

それぞれ鉄パイプを持ち、それぞれ構える。





「……さぁ。始め!!」




ソンジュさんが声をかけると。

ベレイくんを始めとした黒い服の人たちが、一斉に鉄パイプを





降り落としタ







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