心に届く歌






壺…ではなく花瓶の話が終わり、再び村人を雇った話に戻ると。

ノックが聞こえた。




「ようやく茶とウィスキーと菓子の登場か。
遅かったな。

入れ!」




中に入ってきたのは先ほど荷物を持ってくれたメイド長。

手にはウィスキーのボトルとグラスが置かれていた。




「お待たせしました。
ウィスキーでございます。

お茶とお菓子はもう少々お待ちください」


「早くしなさい。
国王陛下と王女様がお待ちだから」


「はい」




無表情で一定の口調のメイドさんが出て行く。




「いやぁ申し訳ありませんね。
少しお待ち頂けますか」


「ええ構いませんよ」




お父様が微笑む前でウィスキーをグラスに注ぐ。

そして一気に飲み干し、再び話をし出す。




さっき村人のマナーが出来ていないって言ったけど。

この人もマナー出来ていないんじゃない?

普通客人のお茶が来る前に自分のウィスキー飲むか?

お客が「先に飲んでいてください」って言ったのなら先に飲んでも良いかもしれないけど。

お父様もわたしも1度も「飲んで良いですよ」と言っていない。




主人が駄目だから使用人も駄目なのかな……。

わたしはそんな失礼なことを思っていた。





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