心に届く歌
☆ソンジュside☆
鈍い音が、地下室に広がる。
所々、赤く染まる床。
アタシはそれを見て、酷く心が高鳴った。
これ。
これよ。
これをアタシは探していたの。
これをアタシは求めていたの。
「もっとよもっと!もっと痛めつけちゃって!!」
思い出すのは、アタシがティラン伯爵様の屋敷で失敗した日。
屋敷内で失敗した者は、その日の生贄となる。
伯爵様の部屋に水をぶちまけたアタシは、伯爵様に怒られた。
怒られるのは構わなかった。
それより恐ろしかったのは、儀式が待っているということ。
あの儀式の生贄になるのは勘弁してほしかった。
だけど、結局アタシが伯爵様を怒らせたことは伝わって。
アタシは儀式の生贄となった。
思い出すだけで、今でも身震いがする。
あんな痛いのも苦しいのも、もう一生味わいたくない。
だから、助けを求めた。
目の前で殴られる、シエル・セレーネに。
涙を流しながら、アタシはコイツに、助けてほしいと縋った。