心に届く歌
「人の心、ねえ。
そんなもの、どっかに捨ててきたと思うよ」
「ふざけんなっ……」
「悪いけど俺、ずっと暴力が日常茶飯事だったから。
慣れているんだよね。
またお前が俺に復讐してきても、結果は同じだ。
……俺を殺せるものなら殺してみろ」
アタシの首から手を離すシエル・セレーネ。
アタシはベレイに手を引かれ、背中をさすられた。
「大丈夫ですソンジュさん。
ぼくがソンジュさんの敵取りますから」
「ベレイ……?」
「もうすぐなはずです」
ベレイが不敵に笑った瞬間、バタバタと音が聞こえてきた。
音の正体を掴もうとした時、扉が勢い良く開く。
鍵は地下室を見つけた際、ベレイに壊してもらったので簡単に開く。
「シエルっ!!」
入ってきたのは、ソレイユ王国100代目次期国王、エル・ソレイユ。
アタシの首から手を離してすぐ、壁に背を預け座り込んだ悪魔の元へ行き、
そっと抱きしめていた。
「シエル!シエルしっかりして!」
「っ……エル、様……」
「無事で良かった……」
エル・ソレイユは悪魔を抱きしめたまま、アタシたちを睨みつけた。