心に届く歌
「あんたたち、シエルに一体何をしたの。
大体、ここの地下室は立ち入り禁止のはずよ。
シエルに何したのっ!」
黙り込む黒服集団とアタシ。
するとベレイがスッと立ち上がり、ポケットから黒い物体を取り出し、彼女に渡した。
「これを見てください」
受け取った彼女は、食い入るように物体を見つめだす。
アタシは小声でベレイに尋ねた。
「あれは何?」
「以前、ソンジュさん、アイツに裏切られた時、いつものアイツとは別の一面を見たと言っていたでしょう?
だから、念のために小型カメラを用意しておいたんです。
それでさっき、ソンジュさんが首を絞められていた時、しっかりアイツの姿をカメラに写しておきました。
安心してください。
勿論今までぼくたちがやってきたことは、写っていません。
あくまでアイツがソンジュさんの首を絞めているシーンだけです」
「ベレイ……っ!」
あぁ、何て言う忠実な下僕なんだろう。
あとでふたりきりになった時、出来る限り抱きしめてあげよう。