心に届く歌
執事服はボロボロになってしまったので、私服で僕は中心街を歩いていた。
夕方で、街はオレンジ色に染まっていてなかなか綺麗だった。
人は多く、全員急いで家を目指しているように見えた。
「キミのこと初めて見たねー」
「シエルと言います。
ソレイユ家で使用人として働いています」
「そうかい。よろしくね」
お目当ての食材――牛肉が売る肉屋で、店主のおじさんと笑顔の交換をする。
「はい。頑張っているキミにご褒美」
「え?」
「100グラム多く盛っておいたよ。
持って行きなさい」
「ありがとうございます!」
ずっしりと重たい袋を受け取り、急いでシェフさんの元に戻ることにした。