心に届く歌
-8-
☆エルside☆
ベッドの上、大の字で寝転がって、わたしは天井を見上げていた。
次期国王らしからぬ格好だけど、わたしは体制を直すつもりなどなかった。
大胆な格好のまま、わたしは何度も溜息をつく。
月に1回、国王であるお父様について行き、
色々勉強したり、将来お世話になるであろう人たちと挨拶を交わす。
毎月のことなのだけれど、今日はいつもより会う人が多く、その分会話もたくさんした。
やはり約1年後には国王となるのだからかもしれないけど。
多く出会って疲れていたわたしは、帰って早々ベッドの上で休んでいた。
浅い眠りについていたわたしは、メールの着信音で目覚めた。
知らないアドレスからのメールで、首を傾げつつ開けると、
すぐに寮の地下にある部屋へ来い、という内容で。
わたしは胸騒ぎがして、急いで部屋に向かった。
地下があることは知っていた。
だけど、誰も使わないため立ち入り禁止となっていたはずだ。
わたしは急いで寮の地下へ向かった。
そこにいたのは、ボロボロになったシエル。
見知らぬ黒い服を着た集団や、新人メイドのソンジュさん、新人執事のベレイくんがいた。
何をしたのと問い詰めたわたしに、ベレイくんが見せてきた映像。
音は録音されず、映像だけの画面。
写っていたのは、ベレイさんの首を絞めるシエルの姿。
シエルは普段笑わない。
いつも何かに耐えるように、苦しそうな表情を浮かべている。
だけど、映像に映るシエルは笑っていた。
氷のように、冷たい笑みを浮かべて、シエルは笑っていた。
いや……あれは氷以上だった。
きっとあのまま見つめられ続けたら、凍死してしまいそうなほど冷たい笑みと目だった。
わたしは、初めて知るシエルの表情に恐怖感を抱いた。