心に届く歌
☆シエルside☆
「――さっさと起きろクズっ!」
ドカッ!
「…っは…」
突然背中に酷い衝撃が来て、目が覚める。
一瞬、呼吸が出来なくなった。
「おい!起きただろ!さっさと起きろクズ!!」
義父の怒鳴り声が聞こえ、蹴られたのだとわかる。
久々の痛みに顔を歪めていると、
手を引かれて床に叩きつけられた。
「起きろって言ってんだろ!?
俺の言うことを聞けよこの馬鹿がっ!」
今度はお腹を蹴られる。
「…っ…ぁぅ……ぁ………ぁ…」
「さっさと立て!!」
痛みが酷く立ちたくないけど、言われた通り立ち上がる。
久々の痛み。
ずっと、殴られてこなかったのだと思う。
それほどあのお屋敷の人たちは……僕に優しかった。
「よお。久しぶりだなぁシエル」
「お義父さん……」
「お前のせいで俺は散々だ。
お前が勝手にクビになったせいで、変な所がお前を引き取って」
変な所。
「っ違う!!」
「は?」
「違う!!
僕がいたところは変な所じゃない!
あの場所を否定しないでっ!!」
自分でも驚いた。
まさか義父相手にこんなに叫ぶことなかった。
あの場所を…あの家を否定されるのだけは、どうしても許せなかった。