心に届く歌
「まっ……誠に申し訳ありませんでしたっ……」
ガタガタ震えながら少年は立ち上がり、
頭を下げ謝ろうとしたところで…何故かふらついた。
ふらついた拍子に、少年の体は入り口の傍にあった壺…ではなく花瓶に当たり、
花瓶は落下し甲高い音を立て割れた。
少年は目を強く瞑ったまま座り込み、立とうとしなかった。
「貴様!これがどんな品かわかっているのか!!
趣味の悪い花瓶だがこれはプランタン国王がわしにくれた物!
許さねぇ……ぶち殺してやるうううッ!!」
「ごめんなさいっ…ごめんなさ……本当に申し訳ありませんでしたっ……」
座り込みながらロボットのように謝る少年と、
真っ赤な顔で怒り狂っているティラン伯爵。
わたしは少しそのふたりに怖くなり、お父様にぎゅっとしがみついた。