心に届く歌






「失礼致します!どうなさいましたか!?」




ノックもなしに入ってきたのはメイド長。

そして床にこぼれた紅茶と割れた花瓶を見て、目を見開いた。




「ノックもせず入室してしまい申し訳ありません。
ですがご主人様…どうなさいましたか?」



あれだけ甲高い音が響き、

怒り狂った怒鳴り声が響いていたのだ。

きっとメイド長さんは音を聞きつけやってきたのだろう。




「……コイツが、紅茶を国王陛下にぶちまけ、花瓶を割ったのだあああッ!!」


「……何と…」




メイド長は今も尚「ごめんなさいごめんなさい…」と機械のように謝る少年を見て、

ぎゅっと唇を噛みしめ頭を下げた。





「申し訳ありませんご主人様。
全てはわたくしの責任なのでございます」


「……どういう意味だ」




髪を振り乱したティラン伯爵は極めて冷静にメイド長に問いかけた。





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