心に届く歌
☆シエルside☆
次の日。
僕は大きく深呼吸をした後、ゆっくり扉をノックした。
すぐに中から「どうぞ」と声が聞こえる。
「失礼致します」
「おやシエルくん。休めたかな?」
「はい。
昨日はご迷惑をお掛け致しましたとお詫びと同時に、ありがとうございました」
僕は90度に頭を下げる。
部屋の主であるプランタン国王様は、笑って顔の前で手を振った。
「いやいや。
お詫びもお礼も言わなくて良いよ。
今日は学校行くの?」
「いえ…。
エル様とアンスさんから、休んだ方が良いと言われまして。
今日は寮でゆっくり休んでいようと思います」
「そうだね。
それが良いとわしも思うよ。
昨日の夜はぐっすり眠れたかい?」
「あ……いえ…。
実は、少しだけしか眠れなくって…。
今も少し寝不足です…」
泣き疲れて眠ったのは良いものの、
両親の怒鳴り声が夜中ずっと頭の中響いていて、結局眠れなかった。
時折隣で眠っていたエル様も起こしてしまい、本当に申し訳ないことをしてしまった。
「うん。
じゃあゆっくり休んだ方が良いよ。
寝不足じゃ勉強も身に入らないだろうからね」
「明日には行こうと思っています」
「無理しないでね。
ところで、わざわざ来てくれて嬉しいんだけど、どうしたの?」
きょとんとするプランタン国王様。
僕は少し息を吸い込み、口を開いた。