心に届く歌






「……どこにいるのっ…」




屋敷中を歩きまわって探したけど、少年の姿は一向に見当たらない。

わたしは息を荒くしながら少年を探した。

探すことを諦めるなんて選択肢、わたしになかったから。




歩きまわった末、わたしはさっきメイドと執事集団が歩いていた場所に戻ってきてしまった。

またイチから探さなくちゃ。

わたしは失礼だと思いながらも、扉を1個ずつ開けて探し始めた。

もしかしたらどこか扉の向こうにいるかもしれない。

扉はさっき歩いた時開けなかったから。





「台所……?」




扉を開けまくり辿り着いたのは広い台所。

手入れが行き届いているとお世辞でも言えない場所だった。




こんな所にいるはずない。

そう思い出ようとしたわたしの視界に入ってきたのは。





「……扉?」





台所の床にある、銀色の四角い扉。

地下通路っぽいその扉を、わたしは取っ手を掴み持ち上げた。

扉の先には、薄暗い階段が続いていた。





「……」





わたしはそっと、ギシギシ音を立てる階段を下り始めた。





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