心に届く歌
だけど、家に帰ってすぐ、両親は僕を殴ってきた。
そして、あの1番奥の部屋に連れて行かれた。
「お前のせいで、世間に叱られたじゃないか!」
「責任取れ!!」
両親の言った責任は重かった。
僕は窓のない薄暗い部屋に、監禁されるようになった。
鍵は閉められ出られない。
初めて僕は義母が置いて行ったナイフで自分の手首を切った。
それからは毎日、どこにも行かずに暴行を受けたり罵られたりする日々が続いた。
眠るものなら蹴られて起こされ、
涙や血を見せたりしたら弱みだと殴られた。
出て行ってすぐ、僕は自分の手首を切った。
鮮血が流れるのを見ると、自然と心が安心する。
そのあたりから感じていた眩暈も頭痛も、消えていくように感じた。
ちなみにこの眩暈や頭痛は、貧血の症状だとわかるのはもう少し先。
監禁され数年後。
「学力があった方がもっと稼げる」という考えを両親が持ち、
僕は学校に行くようになった。
村の学校は、中心街にある学校とは天と地の差だ。
多くの差があったけど、1番違うのは教師。
村の学校は、先生が授業を半分したところで放棄してしまうことが多かった。
その日も半分で授業が先生の面倒だの一言で終わり、
僕は復習をしていた。
すると、クラスメイトであり学年でも目立つ不良集団が前に立った。
「両親からいじめられているんだろ?
だったらおれたちもいじめて良いよな?」
セレーネ家から絶えず子どもの泣き声がすることは、通報は誰もしないものの有名だった。
きっと不良たちもその噂を聞きつけたのだろう。
その日から僕は学校でも暴行に合うようになった。
以前エル様にも言ったけど、別に辛くなかった。
家でも学校でも居場所がなくなるだけで。
僕をいじめて笑う人たちを見て、僕は何度も溜息をついた。
「……殺してくれた方が楽なのに」
どうして皆は、僕を生かそうとするのだろうか。