心に届く歌
「シエル、ソンジュって奴に会わせない方が良いよな」
「ええ……」
「シエルがソンジュの首を絞めているあの映像、パニック起こしたってことになるよな?」
「なると思うわ。
だけど、本人が認めるかどうか……」
「シエルには辛いだろうけど、この屋敷の地下で何があったのか、話してもらう必要があるよな」
「ええ……」
すやすやと寝息を立てて眠っているシエル。
聞くのは気が引けるけど……真実を求めるためだと自分に言い聞かせるしかないわよね。
シエルを例え、ますます追いこむことになっても……。
「つーかさ、会えねぇの?」
「え?」
「ソンジュとベレイって奴に。
会って話しを聞けば、シエルに聞かなくても良いよな?」
「……簡単に話してくれるかしら?」
「行くしかねぇ。善は急げだ」
「ちょっと待って!」
わたしは内線電話を使い、ドクに電話をかける。
そしてやってきたドクに、シエルを見てもらうよう頼んだ。
「アンスと出掛けてくるわ。シエルを頼むわね」
「承知致しました。お気をつけて」
シエルに簡単な手紙を書き、ドクに渡すよう頼んでから家を出て、ソンジュさんとベレイくんのいる警察署へ向かった。
「……悪魔よ、アイツは」
警察の人に4人だけにしてもらうよう頼み、個室に案内してもらい、単刀直入にシエルのことを聞くと。
ソンジュさんはギリ、と歯ぎしりをさせながら呟いた。
「アイツはアタシを裏切ったの。罰を受けるのは当然だわ」
「……鉄パイプの雨、のこと?」
ソンジュさんはわたしを見て目を見開く。
儀式の通称を知っているわたしに、「何で知っているの」という目だった。